「TOKYO!」あらすじと感想【ネタバレ注意!】

TOKYO!

映画「TOKYO!」はコムデシネマとWOWOWフィルムズ社によって、2008年にフランス・日本・韓国の3カ国で合同製作されているオムニバスムービーです。

第61回のカンヌ国際映画祭では「ある視点」部門でワールドプレミアム上映された後に、日本でも2008年の8月16日〜渋谷シネマライズを封切りにして全国各地のミニシアターや名画座で単館上映されました。

フランスからはミシェル・ゴンドリーとレオス・カラックス、韓国からはポン・ジュノ監督。

国境を越えた3人の実力派の映画作家がメガホンを取って、「インテリア・デザイナー」「メルド」「シェイキング東京」と3つのオリジナルシナリオを書き下ろしています。

大都会・東京に集まってくる風変わりな人たちと、次から次へと巻き起こっていく不可思議な事件をテーマにした異色作です。

「TOKYO!」あらすじ

とある地方都市で映画監督として細々と自主製作を続けていたアキラは、彼女のヒロコを連れて上京してきました。

ヒロコの女友だちが住んでいるワンルームのアパートへと転がり込みましたが、次の日曜日には彼氏が泊まりにくるために出ていかなければなりません。

都内各地のマンホールから神出鬼没の怪物が目撃される

ある日突然に大規模な爆弾テロ事件を起こして多数の犠牲者が出る大惨事です。

捕らえられた怪物は裁判にかけられたものの多くを語らず死刑判決。
そして執行の日を迎えた当日に予想外の事態へと発展します。

親から相続した一軒家でひとり暮らしを続けている中年男

かれこれ10年近くも外に出ていません。

ピザ屋の配達店員に恋をした中年男は勇気を振り絞って外出をしますが、変わり果てた東京の街並みを目撃するのでした。

「TOKYO!」感想

東京の風景

国際線から成田空港に向かう時にはお約束となる「どなた様も快適な旅をお楽しみ下さい」という、あのアナウンスがオープニングを飾ります。

「東京」の街並み

モノクロで映し出されていく日本列島の見取り図と、上野駅周辺のビル群を描いたアニメーションも斬新ですよ。

海外から日本を訪れた人たちが感じるであろう、エキゾチックなときめきや些細な違和感が上手く表現されていました。

けばけばしいネオンの輝きや絶え間なく聞こえてくるコンピューターの音声ガイドにも、不思議と不快感はありません。

オモチャ箱をひっくり返したかのようなワクワク感と、異なる価値観や多様性を取り込んでいく貪欲さでいっぱいです。

鼻を押さえる女性

「TOKYO!」は3名の監督作品

そんな多文化かつメディアミックスな街「トーキョー」に、世界を舞台に活躍する3人の鬼才が独自の解釈と視点から斬り込んでいきます。

大雨が降りしきりる中を会社帰りのサラリーマンが家路を急ぐのを尻目に、呑気にシルバーのホンダを走らせていくのがアキラとヒロコのカップルです。

車窓から流れていく無機質でどんよりとした風景の中でも、友人が差している傘の赤い色がやたらと鮮やかでした。

久しぶりの再会を抱き合って喜び合いながらも、次の日にはやっかい者の居候扱いされてしまうのがちょっぴりほろ苦いですね。

アキラの方は映画作りの才能はサッパリなものの、新天地でも早々と接客包装の仕事を見つけてしまうなど要領よく立ち回っていきます。

対するヒロコはアルバイトの面接でさえあっさりと不採用を言い渡されて、周りから勧められても女優としてデビューするつもりもありません。

一向に引っ越し先も勤め先も決まらないヒロコが、初めて手に入れた自分だけの居場所にはビックリです。

怪物・メルド出現

大勢の観光客や買い物客でにぎわう銀座四丁目の大通りに、突如として地下水路から這い上がってきた怪物・メルドが不気味でした。

身につけているのはボロボロになった緑色のスーツとズボン、髪の毛はオレンジ色に染めてボサボサ、もうすぐクリスマスだという真冬日にも関わらず足元は裸足。

通行人が吸っているタバコを奪い取り、足を怪我している青年の松葉づえを勝手に持っていってしまうなど傍若無人ぶりには呆気に取られてしまいます。

「ゴジラのテーマ」が鳴り響く

そんなメルドの暴走を後押しするナンバーが、東映の特撮スペクタクルでお馴染みの「ゴジラのテーマ」です。

往年の邦画ファンの皆さんは、伊福部昭作曲と言えばゴジラよりも谷口千吉監督の「銀嶺の果て」を思い浮かべてしまうのではないでしょうか。

21世紀の東京を恐怖の渦へと叩き込みつつ、数多くの謎を残したまま闇に消え失せていくメルドの後ろ姿が忘れられません。

経済的に困っていない、引きこもり中年男の暮らし

ピザの出前を受け取る中年男

インスタント食品からトイレットペーパー、ピザの出前の空き箱にペットボトル空容器、古今東西の名作文学。

引きこもりの中年男の部屋はありとあらゆる物で埋め尽くされていますが、理路整然と並べられていて工場のようでした。

親子の愛情はなくても経済的には裕福な父は毎月現金を書き留めで郵送してくれるために、働かなくても生活には困りません。

タウンページと電話があれば何でも配達してもらえるために、昼間からお寿司の出前を取って好きな本を読みふける悠々自適な日々です。

いつしか配達のドライバーとも目を合わせて会話することが出来なくなってしまう中年男は、人と人との繋がりが薄れていく現代を象徴しているようですね。

そんな不甲斐ない中年男を外の世界へと導いていくきっかけを運んできた、美しきピザ屋の店員との出会いには心温まります。

まとめ

エンドロールと共に鳴り響いていくのは、ヒューマン・オーディオ・スポンジが2007年にリリースしたシングル「tokyo town pages」です。

坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏とまさにJ-POPを代表する音楽家たちの豪華な共演が、本作品を堂々と締めくくっていました。

ミシェル・ゴンドリー監督は2015年に自伝的な作品「グッバイ、サマー」を発表して以降沈黙を保っているために、新作が待ちきれません。

レオス・カラックス監督は本作の「メルド」に出演しているドゥニ・ラヴァンと再びタッグを組んで、2012年に「ホーリー・モーターズ」を完成させています。

ポン・ジュノと言えば何といってもカンヌ映画祭のパルムドールとアカデミー賞の作品賞に輝いた、「パラサイト 半地下の家族」でしょう。

後の偉業達成に繋がる才能の片鱗がそこかしこに散りばめられていますので、最新作のおさらいとして是非ともご覧になってください。

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