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「20世紀少年 最終章 」感想

桜の木の前で笑っている女性

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ライトアップされた巨大なタワーと無限に張り巡らされた壁によって分断されている、2017年の東京から物語は幕を開けていきます。

 

時代設定こそ近未来になっていますが、一般市民が住んでいるのは木造の平屋建てで昭和の高度経済成長期と変わりありません。

 

誰しもが怯えている新種ウイルスによるパンデミック、夜間外出禁止令が発令の違反で地球防衛軍によって即刻逮捕。

 

自粛ムードに包まれている、2020年を彷彿とさせるような息苦しさもありました。

 

上空を飛び回る飛行船からはサーチライトが照らされていて、脱走者を発見次第攻撃してくる監視塔のようで何とも不気味です。

 

壁をよじ登ってでも東京に侵入しようとするケンヂの親友・オッチョ、営業停止となったボーリング場に住み着いて呑気に菓子パンを頬張るカンナのクラスメート・小泉響子。

 

世の中がひっくり返ったとしても相変わらずマイペースなふたりの姿を見ていると、ほっとひと安心できますね。

 

オッチョや響子との久々の再会によって、氷のように凍てついていたカンナの心も少しずつ溶け始めているようです。

 

キャタピラ型から大きく改良された2足歩行タイプのロボットとの最終決戦は、その場にいるかのような臨場感ですよ。

 

ガタガタの体に鞭打ってコックピットの内部に飛び移るケンヂ、ジープで体当たりを仕掛けるオッチョ、リモートコントロールでロボットを操るともだち。

 

ようやくともだちをあと一歩のところまで追い詰めたケンヂの、突然の土下座姿での謝罪にはビックリです。

 

完全無欠のヒーローではなく罪悪感を背負ったまま生きてきた中年男性の姿を、哀愁たっぷりと映し出していました。

 

決着がついた後で開催されるコンサートはまさに愛と平和の祭典で、1969年のウッドストックを思い浮かべてしまうでしょう。

 

ともだちが「最高で最低の時代」と評する20世紀を駆け足で振り返りつつ、これまでの登場人物がステージ上に勢揃いして思い出の曲を歌う大団円には胸が熱くなります。

 

目次

まとめ

音楽が鳴り止んでスタッフロールが流れ終わって画面が真っ暗になっても、映画はあと少しだけ続きますので気は抜けません。

 

お昼休みを迎えた中学校の校舎に流れるポール・モーリアの優雅なピアノの旋律「エーゲ海の真珠」、突如として割り込んでくるT・レックスの刺激的なイントロ「20th Century Boy」。

 

第1作「終わりの始まり」のオープニングに一気に巻き戻されたかのような、不可解な気持ちに。

 

中年のケンヂと向かい合った中学生の頃のともだちが、ついにはお面を脱ぎ捨てて素顔をさらす瞬間にはドキドキです。

 

ケンヂの告白からは誰しもが無意識のうちに周りの人たちを傷つけながら大人になっていく、少年時代に特有の残酷さを痛感します。

 

その一方、互いの痛みを共有することで、真の意味で「友だち」になれると実感します。

 

原作とはひと味違った心温まる結末と、3部作を締めくくるのに相応しい静かな余韻を味わってみましょう。

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